2015年11月29日日曜日

【PS Vita】グランキングダム レビュー

【思い出話】

ヴァニラウェア初のターン制RPG
「グランナイツヒストリー(PSP)」が発売されたのはもう2011年のこと。

まずSFC後期の芸術的とも言えるドット絵を更に進化させたような2Dグラフィックの
キャラクター・背景に、更に愛をもって育てることが可能な装備品のカスタマイズ要素、
キャラクター単位ではなくチーム単位で管理される行動ポイント(攻撃・防御など)を採用した戦闘などはターン制RPGをもう一歩深くするものであり、
また、空前のSNSブームを見越したオンライン戦争機能を含んだこのRPGは
ロマンと発展性と荒削りとを同時に含んだ、PSP後期会心の傑作と言ってもオーバーではない。


現にmixiのようなグランナイツ専用の「グランナイツSNS」なるものが有志によって作られ
各騎士団長による団員エピソードや絵の公開、戦術論共有、戦争エピソードなどの二次創作など大いに盛り上がった。

だから先進的な機能を搭載しつつもやや単調であったこのゲームを一年弱楽しめたのは
ひとえにいって、愛せるオリジナルの世界を用意したヴァニラウェアのパワーと
ゲーム内が不便だからこそ、ゲーム外部のSNSや掲示板とが自然に融合した賜物である。
オンラインを介したポジティヴな運動と発展は、例えゲーム内に
そのような導線を導入したとしても作り手の思惑通りにプレイヤーが動いてくれることは中々ないし、実現は困難なものである。

と、ここまで書いたところで筆者は言うまでもなく
初作品「グランナイツヒストリー」の大ファンである。

そこまで過去作に強い思い入れがある場合、普通変化した次の作品を遊ぶべきではない。
だいたい、思い出が好きで、そしてそこから想像し発展する自分だけの"それ"を
愛しているのであり、だから続編や次の作品に失望するのはよくある話である。
言うなればそういう人間が本当に好きなのは脳内二次創作である、
とでも表現すれば良いだろうか。

上記の思い入れから考えて、最近の流行語である精神的後継作「グランキングダム」は
遊ぶべきではないと判断し、買う事すら考えてなかった。

しかし体験版の、なれると面白い少し複雑な戦闘と、中々工夫を要する戦争の対傭兵団戦は
思わずグヌヌと唸らされる。

結果として発売日当日、筆者の手にはグランキングダムが握られていた。


新たな道が開かれたァ!!


グランキングダム レビュー
【物語とキャラクターのレベル】
まず本編のボリュームは、社会人が土日本気をだせばクリアできるくらいのものである。
もっとはっきり言うと、ボリュームは昨今のゲーム比で考えると少ない。

だから物語に対して噛み合わない最大レベルの高さと要経験値の多さは
グランナイツと同じく、本気で戦争とクエストだけで遊ばせる気なのか??
各国に設定されたキャラクターの扱いはどうなるのか??と戦々恐々としてしまった。

しかしもう既にプレイ中、プレイ済みの勘の良い人なら気付いたと思うが
「ギルド~話」と表示されている事で別のシナリオがある事を匂わせている。

結果としてその通りで、メインシナリオをクリアするとその辺、納得のいくオチがついているので安心しても良い。

もう隠すことでもなく公開されているので書くが、各国のエピソードはDLC配信である。
寿命を考えての事なのかもしれないし各国何話配信なのかはわからないが、
できれば一括で配信してほしかったというのが本音である。

【クエスト】
よくあるクエスト方式ながら、遊びをいくつか用意する事で単調さを幾分軽減している。
単純に目的地に到着するものから、撃破数を競うもの、アイテム獲得数を競うもの、
フィールドを無限に探索しアイテムを見つけたり賞金首を討伐したり、など様々である。
傭兵団は実際にプレイヤーが作成したものがコンピュータとして登場する。

筆者は最初、リアルタイムに処理していると勘違いしハラハラを楽しみながら遊んでいたので
ホッとした半面、戦争とは違って数名なのだし、リアルタイムで駆け引きを楽しみたかった。

【キャラクター育成】
前作がキャラ毎に成長傾向が存在し、ある程度まで育ててみないとどの程度の伸びを
有するキャラクターかわからなかったのに対し
今作はどのキャラクターであっても時間さえかければどのステータスも万遍なく強くすることが可能である。

だからそれに伴い経験値やクラスアップするためのアイテムが入手難なのは理屈として理解できるし、頑張ればステータスを最高値まで上げられるのは平等な遊びを用意する現代らしい仕組だが、一方万遍なく強くできることで特化ビルドや隠れた趣味ビルドを組む・探す面白さには欠ける。

ステータスを最強にできるにしても、設定されたステータス限度値のなかでキャラの育成方針を探る方が面白くないか。


【戦闘】
魔法や弓矢のアイコンを敵キャラクターにタイミングよく合わせる事で命中したり、
行動ゲージが高ければ高いほどコンボが決まる前衛の近接攻撃は気持ちがいい。
また、普通のサイドビューバトルは敵と味方側にきっぱり分かれて戦うものだが、
味方と敵が入り乱れ、状況によっては味方の攻撃が味方に当たってしまうなどといった
癖のある仕様は戦争という状況をよく体現している。
場合によっては味方を吹き飛ばして敵に当てる事で、優位に進められる局面もある。

しかし工夫の効く戦闘だからこそキャラクター育成の限度のなさと
コンピュータの動きは勿体ない。
例えばゲーム前半から中盤にかけては工夫が物を言いスリルある戦闘を楽しめるが、
後半では結局数値がものをいうゲームに変えてしまっている。
理想としては数値面の気持ちよさも担保されながら、グランキングダムが持つ本来の戦闘を
維持できればともっと面白い。
また、コンピュータの動きはあまり障害物や罠を活かさず勿体ない。

【戦争】
以上戦争でであった面白い傭兵団シリーズ
このシリーズ最大の特徴とも言うべき戦争は前作からもっとも変化が見られない点である。
オンラインゲームではないので、過度なサービスを求めるべきではないが、もう少しハプニングが欲しい。
勝っている時は勝っているし負けている時は負けているので、丁度カーブのない道路のように起伏に乏しい。
戦争に於ける戦闘も勝利した時は、英雄戦のみならず低確率でもいいから戦った傭兵団のキャラクターの装備を得たいものである。

【キャラクターデザイン】
確かにグランナイツヒストリーのグラフィックは、そう簡単にまねできるものはないけれど、
無邪気な笑顔が可愛かったりする自傭兵団のキャラクターは決してグランナイツヒストリーと比べて良くないとはいえない。
きちんと愛着を持てる風にできているし、現にプレイすれば好きになれるだろうと
特にグラフィックの面で許容できる事はなさそうだと感じていたから余計にそう考える。
ただし、キャラクターの描写は味方側に最大注力された感があり、
ボスキャラの立ち絵は独特なのに、戦闘となるとモブと大して変わらなくてそこはキャラクターに
思い入れを持つ意味で頑張ってほしかった。

【最後に】
今日までに沢山のゲームジャンルが生まれたはずだがスタンダードとして残っているのは
ほんのわずかなスタイルだけではないだろうか。
そしてそれを単に再生するだけのゲームも多いが、そういったスタンダードなスタイルのなかに
僅かばかりのロマンが搭載されているのは昔のゲームでは当たり前だった。

グランナイツヒストリーの時も感じたことだが、このゲームの監督は恐らく
スタンダードのスタイルを採用しつつも、面白いゲームとはどんなゲームかを考えるのがとても好きで日頃から試行錯誤しているのだろう。
使い古されたクエスト方式の見せ方にしてもサイドビューの戦闘の工夫にしても、そんな配慮がみられる。
作品としての成熟は足りないかもしれないが、何が面白いかは十分に提示できている。
そんな本作である。
もうターン制RPGなんかなくなったっていいんじゃないか、とすら考えていた筆者に、
もう一度ターン制RPGの面白さを思い出させてくれたこのシリーズには、もっともっと面白くなってほしいし、もっと遊ぶ人が増えてほしい。

ある日休みができてゲームに最大注力するぞ!
という人では多分このゲームはすぐに終わってしまうかもしれない。
しかしキャラクターに愛着をもって一人一人ちまちま育成するのが楽しい人なら末長く遊べるだろう。
各傭兵に自分なりのエピソードを作ってやるとさらにキャラクターに喜ばれるだろう。
7日間ある日のある1日は、傭兵団長となって戦場を駆け巡ろう。

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筆者:ロジオン

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