ファイナルファンタジー15 レビュー





今年唯一のレビュー記事です。
極めて断片的なレビューで、他のレビューなどでは見られない部分が主になっていると信じています。


  1. 第一章:キングスグレイヴ
  2. 第二章:良かった点・悪かった点
  3. 第三章:アクションとオープンワールド
  4. あとがき(総評)

  5. の四本立て。
    それぞれ独立した話になっています。
    映画とかは作っていません。

    第一章:キングスグレイヴ


FF15ユニバース」で最もワクワクした場面はキングスグレイヴFF15のエンドロールの曲が流れた時だった。

キングスグレイヴは映像のクオリティは言うまでもなく、ゲーム本編の裏で活躍するキャラクター達の味付けやドラマも濃く、深みがあるものだった。感情移入もしやすく、バトルシーンでは手に汗握りながら、歯を食いしばりながら観ていた。
そして、ゲーム本編へ、それはつまりプレイヤー自身へ、「未来」「希望」を手渡す作品として大変優れていたものであった。

映画の中のアクションは爽快感に富んでいて「早く動かしたい」と思わせてくれる内容だ。そしてそれを実際動かした時には、映画の彼らが、俺の手に託したものを実際に動かしている。と信じることができる程、映画のインパクトは強かった。
実際に本編を遊ぶと、映画の情景を思い出し、心揺さぶられる場所が多く、託されたものを実感できた。
この映画はそれほど大事な内容だったのだ。キングスグレイヴ無しにこのゲームを語ることは許されないと言っても過言ではない。
だからこそ、だからこそ、だからこそ、これをプレイヤーに触らせるべきだったのではないだろうか、映画の他に、実際にプレイヤーに遊ばせるという手法が欲しかった。

最初にFF15のタイトルがついたPVを覚えているだろうか、2013E3の中で最も印象的だった「15番目だ」という言葉の下、Versus1315へ変化するというもの。

このPVを観て「今すぐにでも遊びたい」と思わされた。
映画をなぞるような形で構わないから、この部分をゲームで遊びたかった。
現代では映画よりもゲームという形のほうが圧倒的に敷居は低いように感じる。ゲームは初週約70万本を売り上げたが、キングスグレイヴの公開10日間での動員数は約7万人だ。
10人に1人しか、ゲーム本編の前に起きた出来事を知らないのだ。これはアリえないことではなかろうか。
本編での描写で充分なのかと聞かれれば、間髪入れずNOを言う。

もし、ゲーム本編は遊んだけれども、キングスグレイヴは観ていないという方がいたら、是非観て欲しい。
このゲームの見え方も変わってくるはずだ。


第二章:良かった点・悪かった点




【世界観】
This is a fantasy based on reality.」(アナウンストレーラーより)

という言葉の通り、現代的なクルマやスマートフォンが登場する上で、召喚する武器や魔法といったファンタジー要素が融合し、世界を創り上げている。この魅力は今までのFFにもなかったのではないだろうか。
ゲーム本編にはカップヌードルやアメックスカード、キングスグレイヴではAudiJALといった実際に日常生活でみかける物が登場するのも雰囲気に一役買っているだろう。
だからこそ、もっと近代的な兵器やアイテムが積極的に登場してもよかったと思う点はある。
「ありそう」と思う武器や兵器のデザインも秀逸で、アートブックなんかが発売されたら是非見てみたい。
王都のモデルが新宿というのも魅力的だ。新宿で観た人は思わず甲州街道沿いの出口から映画館を出たに違いない。

【キャラクター設定】
キングスグレイヴではともかく、ゲーム本編でキャラクター一人一人がピックアップされる場面が少ないのが残念である。
Youtubeで無料配信されている「BrotherhoodFFXV」では主人公4人とノクトとの関わりがピックアップされているので、是非見て欲しい。
この4人以外にも印象に残るキャラクターが多い、王都、帝国側の人間にも、それぞれドラマがあるのだろうが、そこの掘り下げは非常に甘い。
キングスグレイヴのキャラなどはゲームに登場させようがない。パンフレットなどがもっと充実していると良かった・・・。
人間以外にも、モンスターやシガイといった敵キャラクターも魅力的だ。プロンプトの撮ってくる写真に写る敵キャラはいつも様になっていて、存在感は圧倒的だ。



【目標】
このゲームでは長期的目標が持ちにくい。
ストーリーがガタガタなせいもあるが、中期的な目標が主に存在していて、そこを目指していくと、短期目標がボロボロと湧いて、サブクエスト漬けになる。
これは決して悪いことではないし、むしろ開発側が狙ってやっている可能性も高い。
目的がコロコロ変わる旅も趣があるかもしれないが、最終目標のようなものを感じたのが最終章だけだった。そういう人のために冒頭で文字を使って説明したと考えられるが、それを実感できる部分は少なかっただろう。

【乗り物】
クルマとチョコボだけしかない。
アンカバードトレーラーでサプライズ的にクルマが飛ぶことが発表されたが、あれもほとんど意味がない。というもの結局着陸は舗装された道にしかできない、山登りが簡単になったとか、そういうこともなく、いつも走っているその上を飛ぶか。といった具合。
ヘリコプターに変形すればよかったのに。
クルマに関しては操作している感覚はさほど面白いものではない。というのも元がレギスのお上品なクルマである。皇室のクルマが面白くないように、王家のクルマなんぞ面白いわけがなかった。グランドツアーで取り上げて欲しい。
ただ、キングスグレイヴでAudi180度ターンを決めるシーンを見て「これどうせゲームではできないんだろう」と思っていたが、できた。これはマジでめっちゃ感動したけど、Audi動かしたかったよね。そういえば、このAudiってどうなったんだろうか・・・。


【ファントムソード】
これ最後までに全部揃えよ!!!!!!!!!!!
集め甲斐がねーよ!!!!!!!!!!!!!!!

設定としてはずせなかったから仕方なく実装した要素にしか見えなかった。
実際のバトルでそれぞれは強いが、集めたところで特になにもない。
集めてなくてもエンディングのムービーでは何故か揃っている。
必殺技的な位置づけなのかもしれないが、必殺技としての雰囲気も0で、強くもない。
ほとんど使わなかった。
必殺技として召喚獣がいるのかもしれないが、任意のタイミングで発動できないうえに、ノクトの力であることを実感できないもので、推せるものではない。



【キャンプシステム】
キャンプをするほど広いフィールドではなかった。




第三章:アクションとオープンワールド


このゲームはオープンワールドゲームとして面白い。
やめ時が見つからないとはまさにこのことで、気がつけばメインストーリーの推奨レベルを遥かに超えるレベルになっていることも多かった。
各街や集落で出会う人々が、旅を続ける中で目的を持って移動していたり、
サブクエストにストーリー性(意味)が組み込まれていたりと、オープンワールドゲームとしての細かい作り込みは評価できる。
しかし、基本的な部分での甘さが見受けられる。ウィッチャーやMGSVといった一般的に快適に遊べるとされるオープンワールドゲームに共通する要素は「遊びやすさ」だ。
ただゲームをオープンワールドにしたところで、デメリットのほうが大きい。見える景色全てに行ける、というのは、同時に行かなくても良い場所にも行けてしまうということを意味する。これまでのゲームでは行く必要ない、やる必要のないことまでやれてしまい、そこを通らなければならなくなってしまう。
MGSVはそれが上手かったと感じる。オープンワールドによって出来てしまう無駄な時間のコントロールをファントムシガー(タバコを吸うと時間が進む)で解決し、アフガンの不毛な地での面倒な移動は馬、多彩なビークルによって、ユーザーに選択肢を与え、それぞれの操作感が楽しいものになっている。(それによる弊害もあるがそれはまた別の機会に)
余談だが逆にGTAVはド下手クソだ。オープンワールドになったからって無理に世界を走らせたり歩かせたり、そんなことしなくていいんだ。
そういった部分の調整が上手くなかった。たとえば移動手段が少なく、お世辞でも幅があるとは言えない。広大な草原をチョコボで走り回るのももちろん魅力的だが、こう旅をしている感覚にフォーカスしたいのなら、自転車やバイクといった面白い移動手段も欲しかったし、クリア後に無意味にフィールドを走り回ることも楽しいだろう。
このクリア後に無意味に走り回るフィールドはオープンワールドの魅力の一つで、MGSVであればLMGを持って敵基地内を走り回ったり、ビークルを乗り回して敵兵を連れ去ってみたり、GTAVであればバイクなどで山登りをしてみたり、空を無駄に飛び回って挙句飛び降りて死んでみたり、そういうバカな遊びが面白い。そこで移動手段というものが大事になってくる。
オープンワールドゲームは移動手段すら、遊びになってくるのである。そういう意味でFF15はお固いゲームだ。

だがここでピックアップしたいのはそういう面ではなく、アクションとのバランスの話だ。
このゲームのアクションは非常に単純だ。
操作方法を説明すると、が攻撃でが回避。それだけ。
正直これを聞いて触った時に、スマホゲームのやりすぎで脳みそ腐ったんじゃないかと心配になった。「これを押しっぱなしでキャラクターが攻撃します」って、スマホの画面を映しながら説明するどこぞの社員が頭をよぎるわ。
この手の操作が通用するのは、「簡単操作で奥が深い」ゲームのみ通用する。
これはそうではない。
マリオなんかはジャンプと移動だけだが、位置取りによって絶妙なアクションを繰り出すことのできる唯一無二の神ゲーだが、これはそうじゃない。アクションに自由度はなく、位置取りなんぞしようものなら、無駄に人間らしい動きでプレイヤーをイライラさせるだけだ。
アクションで評価できる点は2つあり、まずはエフェクト。これはプラチナゲームズもビックリの綺麗さで、この世には存在しないような魔法的で、思わず無意味に散らしたくなるようなエフェクトは、攻撃を華やかな絵にしていることは認めざるをえない。だがエフェクトで一定の爽快感を出すことはできても、それはスマホでもできる。
せっかく多くのボタンがついたコントローラーでこんな間抜けなことはさせないで欲しい。
極端な話をすれば、どんな強敵でさえ、で勝ててしまう。
で勝ててしまうなら、マリオがクッパをボタンで倒すように、アクションになぞった敵であるべきだった。ラスボスの第一形態はそういう点で良かった。
そこで2つ目、ジャスト回避だ。名前の通り、タイミング良く回避を狙うことだ。
ラスボスの第一章形態のアクションに対してジャスト回避を狙うのがとても楽しく、ゲーム中で最も戦っていて楽しかった。人型の敵に関してはこういう場面が多かったが、動物のような敵やボム、ゴブリンといった魔物に対しては予備動作がわかりにくく、攻撃が来そうになったらを長押しして攻撃を待つというなんとも間抜けな絵面になってしまう。FF13じゃないんだから。

(ここからは自分への言い聞かせのようなものかもしれない。)
しかし、このゲームはあくまでオープンワールドゲームである。しかもその目的はストーリーであって、その先にある敵を倒しにいくことではない。
例えばGTAVのシューティング部分が全てArmAのようなガチシューターだったらどうだろうか、ジャストコーズでそこらへんの兵士が全員RPGを持っていたらどうだろうか。と考えた時に、このアクションはこのオープンワールドに合わせて味を整えられたのかもしれないと感じた。
そう考えると納得がいくかもしれない。
確かに、俺が今まで満足してきたアクションというのは、その敵を倒すということ自体が目的になっているか、早く次を殴ることが目的のゲームだったかもしれない。
このゲームのアクションは、クルマやチョコボでの移動、サブクエストやメインストーリーでの会話とのバランスを考えれば、この程度がちょうどよく、これ以上ややこしくすると、アクションの主張が激しくなってしまい、ゲーム全体のバランスが崩れるのかもしれない。
実際、最初は「つまらんアクションだなあ」と思っていたけれど、最後の方にはそれも気にならなくなっていたし、それを忘れるほど、魅力的な世界だったんだと思う。

ちょっと無理やりかもしれないが、こう自分を納得させた。


あとがき(総評)


このゲームをプレイして「いやーー時間の無駄だったわーーー」とは全くならなかった。
「旅」にフォーカスされたストーリー体験は決して悪いものではなく、エンディングはエモーショナルなものになっていて、エンディングでは浮くことなくしっかりと実感のある感動が存在し、ノクトの旅を自分のものにできていた。(もちろん道中でのツッコミどころがチラつくこともあったが)
詰めは甘いものの、オープンワールドとしての満足度は高く、「日本でこういうゲーム作れるんだな」と思わせてくれる体験だった。
世界の息遣いを感じるといえば大げさかもしれないが、街や集落の活気や雰囲気は抜群で、作り込みの賜物と言えるだろう。
アクションは切り取ればしょぼいかもしれないが、オープンワールドへ組み込んでしまえばちょうどよくなっていた。
この内容のストーリー、オープンワールド、アクションをもう少し磨いていれば、真の極上クオリティに仕上がったと思う。

もう二、三歩、と思わされる部分はあるものの、各部の存在感と素材は素晴らしいものであることは間違いないと、前を向いて言える。



筆者:岡野朔太郎


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